ルサンチマン ISBN:4091873014
リアルの幸福を捨ててヴァーチャルの幸せを選んだ男のお話。
この主人公のリアルは冴えなく、汚く、惨めたらしく描かれているが
自分には彼を笑う事や蔑む事ができない。
むしろアンリアルに逃れる手段を持つ事を羨ましくすら思う。
多幸感に溢れたアンリアルが手に入るのならば、それはもうリアルを超える。
現実逃避と言われようが、主体が幸福であればそんな事は問題ないんじゃないだろうか。
むしろ映画『マトリックス』やこのマンガみたいな形態こそが
最終的に人間が行き着く「幸せ」なんじゃないかとヘタレな自分は思うのだが。
現実を直視しろ。 おれ達には もう仮想現実しか ないんだ
輝くヴァーチャルのためなら冴えないリアルの魂なんて売り飛ばせ。
オタクってのはそーあるべきだろ?
『敷居の住人』の「近藤ゆか」が「ちあき」と初めてキスした時のセリフ
その時思ったのね あ 今なら殺されても笑って死ねるワ 負けないよ私は
こう思えた瞬間があなたの人生に何回ある?
リアルに差し替わるアンリアルに触れた時、たぶん自分はそうつぶやける。と思う。