世界は密室でできている。/舞城 王太郎



舞城王太郎は初めて読みました。
正確にいうと初めてじゃないか。
ファウストのvol.1の短編を読んだことがあるんですが、
この人独特の句読点があまりなく奇をてらったような文体が鼻について
半分ほど読んで止めてしまった。「あ、うけつけねーわ」って思ってしまったんです。
たしか男の子がドライバーで頭んなかグリグリひっかき回す話だったと思う。
(調べたら『ドリルホール・イン・マイ・ブレイン』というお話ですな、
好き好き大好き超愛してる。」に収録されてるみたい。また読んでみるかな)


周りの評価は割りと高いんで、他の作品は面白いのかな?と興味だけはあっても
なかなかレジまで持っていかない類のひとつでした。
で、今回文庫本化されてたので買ってみました。


想像以上に面白かった。


ミステリ部分の謎解きとかどーでもいい感じ、それ以外の腐った感が素晴らしい。
そいういう意味では戯言シリーズに通じる物があるのか。一緒にするとどちらの
ファンからもバッシングくらいそうですが。


なんつーか、「ギリギリ」って感じ。
崖っぷちの話を書くのがうまいなー、と。危なっかしいのさ。
リアルの持つエグさとか、それに直面してしまった人の脆さとか。行くか戻るかの境目とか。
ふて腐れながら世の中に「そんなもんしょー」という達観と諦めに似た感情を持ちながら
それでも「腐ってるなりになんとかしよーぜ」という態度で生きているキャラクター達は
好感が持てるなぁ、どこか狂っているけど。
エノキが後半マトモっぽく可愛くなってくるのは仕様ですか?
やっぱどこか狂ってはいるけど。
情緒不安定でトンチキで可愛い女の子ってのはツボ突き過ぎなんですよ。
まぁそんなもんしょー。


というわけで、次は『熊の場所』を読みます。


世界は密室でできている。 (講談社文庫)

世界は密室でできている。 (講談社文庫)