電波的な彼女



一人の男の子を主人とし、盲目的に電波的に下僕のように騎士のように
付き従う少女。その二人のお話。


巻き込まれる事件は大したカラクリもなく、
犯人や物語の筋書きはあっさり分かる。
この手のミステリーテイストなお話としては質は決して高く無い。


ただ、この騎士きどりの堕花雨という少女は、こう、なんというか
自分を不安定にさせてくれる存在でいいね。






変わらない物。絶対的に不変な物。
そんな物はない。無いからこそ欲しい。


堕花雨の意思は変わらない。ジュウに従う奴隷であるという決意は変わらない。
たとえばジュウに死ねと言われれば、彼女は自分の舌を噛み切るでしょう。


現実的に考えれば人の心なんて物ほど変わりやすい物はなく、
彼女の決意はちょっと強烈な刷り込みと思い込みでしかなく、
それこそ余りに容易く壊れてしまう事が想像できるけれども。


閉じているこの物語ではそれは永遠で。
僕らには絶対に手に入らない「変わらない物」。
ジュウと同様に私はそれを羨ましいと思い、同時に恐怖する。




さて、続巻を探すか。