電波的な彼女
一人の男の子を主人とし、盲目的に電波的に下僕のように騎士のように
付き従う少女。その二人のお話。
巻き込まれる事件は大したカラクリもなく、
犯人や物語の筋書きはあっさり分かる。
この手のミステリーテイストなお話としては質は決して高く無い。
ただ、この騎士きどりの堕花雨という少女は、こう、なんというか
自分を不安定にさせてくれる存在でいいね。
変わらない物。絶対的に不変な物。
そんな物はない。無いからこそ欲しい。
堕花雨の意思は変わらない。ジュウに従う奴隷であるという決意は変わらない。
たとえばジュウに死ねと言われれば、彼女は自分の舌を噛み切るでしょう。
現実的に考えれば人の心なんて物ほど変わりやすい物はなく、
彼女の決意はちょっと強烈な刷り込みと思い込みでしかなく、
それこそ余りに容易く壊れてしまう事が想像できるけれども。
閉じているこの物語ではそれは永遠で。
僕らには絶対に手に入らない「変わらない物」。
ジュウと同様に私はそれを羨ましいと思い、同時に恐怖する。
さて、続巻を探すか。
電波的な彼女 (電波的な彼女シリーズ) (スーパーダッシュ文庫)
- 作者: 片山憲太郎,山本ヤマト
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2004/09/22
- メディア: 文庫
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