エナメルを塗った魂の比重/佐藤友哉



鏡家サーガの第二巻。
鏡稜子が主人公?


物語の構成としては前巻である『フリッカー式』同様、
いくつかの物語が並列に述べられていき、最後にそれら全てがひとつに
集約されて結末を迎えるという形式。いま読んでいる『水没ピアノ』もそうだし
鏡家サーガは全部この形態なんでしょか?


同時進行で進むそれぞれの物語に与えられたキーワードは
「コスプレ」「カニバリズム」「ドッペルゲンガー」「苛め」そして「予言」
ミステリの皮を被るために申し訳程度に「殺人」も入ってたりします。


ん〜。
やはりというかなんというか、『フリッカー式』ほどのインパクトや嫌悪感はないなぁ。
多分、『フリッカー式』の大きな要素の一つに「強姦」というキーワードがあったからでしょうな。
個人的に強姦は殺人や食人よりも嫌悪感を催す要素ではある。うん。


それでも、第二巻にあたるこの『エナメル』も奇人超能力者変態さんの
展覧会みたいなとち狂った物語なのは変わりない。
それぞれの登場人物の腐った人間性を見て、自分の中に生まれる
作者に対しての同属嫌悪を楽しむ作品である事には変わりない。