うそつき―嘘をつくたびに眺めたくなる月



ツンデレ少女が自分の本当の気持ちに気付き、狼少女という偽りの仮面を外す恋愛のお話。


なにそのベッタベタなハッピーエンド。
愛が溢れるお話はコンビニでも買える。TVを付ければ嫌ってほど流れている。
そんなありふれている、過剰供給されている物を真っ当に書かれても。
欠伸が出るだけだ。
そこから起因される感情は特にない。


真っ当な話は馬鹿馬鹿しくケレン味に塗れさせて
エンターテイメントに仕立て上げるからこそ、真っ当に読めるんじゃねーの、とか。
真っ当に書くならば真っ当じゃないお話でないと退屈なんじゃないのかね、とか。


所詮は個人の好き好きか。
「物語を読む」という事が境界の拡大と境界線の確認作業だと思う自分には、
この作品はさっぱり楽しめない。


世界は、辛辣で残酷で嘘つきで汚くて悪意に満ち満ちている。
泣いて共感と愛を得ようというのはチと虫が良すぎる。
必要なのは素晴らしいこの世界を笑って楽しむ心意気。