狼と香辛料/支倉 凍砂



このライトノベルがすごい!2007で第一位になっていたので、
どれ物は試しとばかりに軽い気持ちで購入してみたのですが


これは面白い。


「続きが読みたくて仕様がない」っていうこの感覚をラノベで味わえるのは久々です。


所謂ファンタジー物に分類されるわけなのですが、
この話には魔法使いや囚われのお姫様、大剣を振るうバーサーカーも出てきません。
主人公は街から街へと荷馬車で商品を運び、売買する事で儲けを出す「行商人」という
仕事をしている青年「ロレンス」。そして、ひょんなきっかけからロレンスは
豊穣の神である賢狼「ホロ」と一緒に旅をする事になる。そんなお話。


商人が主人公のファンタジーなんて地味そうで、面白いのかどうかいぶかしんで
読み始めたのですが、文体が読みやすいからかスルッと物語に引き込まれました。
そしてそこには勇者とドラゴンの激闘に勝るとも劣らない商人達の白熱した戦いが。


相手が人間であるが故に行われる心理戦。
お互いが「商業用笑顔」のまま相手を手玉に取るために二重三重に張り巡らされる計略。
非常にめまぐるしい。そして熱い。


『されど罪びとは竜と踊る』シリーズで、ガユスが絶対勝てない!という相手に
知恵を絞り、策略を巡らせ、苦戦を乗り切る場面がありますが、
この狼と香辛料は、あの心理戦・(こずるい?)策略戦を作品の中心テーマにした感じです。
一歩間違えれば根こそぎ財産と未来、下手をすれば命まで奪われるような場面で
いかに冷静に頭と舌を回すことができるか?ギリギリの駆け引き。それは非常に熱い。



そしてこの作品の魅力のもうひとつの大きな魅力。
ヒロインであるホロが可愛い。


見た目だけだとまるで十代中盤のような美しい少女であるホロは
神様にたとえられる数百年を生きてきた狼。
老獪なのに変な所で幼稚で無邪気な所もあったり。
カテゴライズすればツンデレの一種なのでしょうが、
そのツンの裏に隠された可愛げの見せ方(ホロも、作者も)が非常に上手い。


1巻を読み終わる頃にはこのシリーズのファンに。
速攻で探して2,3巻も読みきりました。どの話も素晴らしかったです。
ただ、置いてある書店が少ないです…。
自分の家の近くでは結局発見できず、2巻と3巻は梅田まで買いに行きました。
このラノベ!で一位なのになぁ…。


嬉しい事に2月には最新刊である4巻が出るとの事。
来月が待ち遠しい。
心待ちにするシリーズがひとつ増える事はとても嬉しい。


狼と香辛料 (電撃文庫)

狼と香辛料 (電撃文庫)

狼と香辛料 (2) (電撃文庫)

狼と香辛料 (2) (電撃文庫)

狼と香辛料 (3) (電撃文庫)

狼と香辛料 (3) (電撃文庫)